ワタシの会社の上司、タマキ課長は新卒で入って勤続30年のベテラン社員です。
独身貴族の彼は、80歳代のご両親と3人でベッドタウンにある公団マンションに住んでいます。
一人っ子なのでいまだにご両親から「タカヒデちゃんタカヒデちゃん」と呼ばれて可愛がられているようですが、そんなタカヒデちゃんの顔はいつもドス黒く、深いシワが目立っています。
顔はシワシワだけど、彼が「タマキ、髪の毛には自信あるよおぉ〜」と言うように、髪の毛だけはサラサラで白髪もなく、ハゲてもいません。
天は二物を与えず…ただ、神が彼に与えた一物は周りの人達にはまったく無意味なものでした。
タマキ課長
タマキ課長は、女の子が大好きです。
会社に新しく女性が入社したと聞けば、すぐに飛んで行ってチェックをします。男性にはまったく興味がないようで、タマキ課長が教えてくれる新入りさん情報には女性の情報しかありません。
会社の中だけならまだしも、近くに私立高校があるのですが、昼休みにビルの大きな柱に隠れながら女子高生の帰宅風景をジッと見つめているタマキ課長を見た時は、さすがのワタシもドン引きしました。
花粉が飛びまくる今頃の季節になると、花粉症の人は「ああ、そろそろだから準備しよう」となるのが通常だと思います。
タマキ課長は、幼少時からの花粉症です。
でも何も対策をしません。
しないのでこの時期の彼の周りのデスクの人達は大変な目にあいます。頻繁なくしゃみと鼻水をすする音で一日中うるさいのです。
もちろんたまりかねた誰かが毎年「薬飲むか病院に行ってきたらどうですか?」と進言しているのですが、「んん?大丈夫だよおぉ」と言って少し嬉しそうになるだけです。どうも、心配されているのだと勘違いしているご様子。
みんなこの時期は天災にあっていると思って耐え忍んでいます。実際は人災ですが。
そんなマイペースなタマキ課長ですが、社内でも彼と双璧をなすほどの変人、総務のヤマガミ課長とは相性がよくありません。
ヤマガミ課長は総務課長なのに総務の仕事をサボることしか考えていない毒社員です。
仕事で使うボールペンや付箋、テープなどの事務用品をまとめて発注するのは彼の仕事ですが、タマキ課長が頼んでも「予算削減のため買えないから自腹でなんとかしてねー」と言われてしまうらしいのです。他の部署の人が頼むとOKが出ているのに。
まったくこちらとしても腹立たしい思いをしているのですが、タマキ課長はヤマガミ課長に強く抗議できません。
タマキ課長は、自分が大好きなので他人から嫌われるのが怖くて仕方がないのです。
昨日、残業申請をタマキ課長に持って行ったところ「泉沢ちゃーん…ここ、“平成”のままじゃん?ヤマガミ課長に新しい申請書作ってもらうように頼んどくよおぉ」と言われました。
.......ああココね
ワタシとしては、別にそんなのどうでもよくありませんでしょうか?という気分でしたが、「そうッスね。でもヤマガミ課長に頼むと時間かかりそうじゃないッスか?」と返しました。
「だよねえぇ」と苦笑いしていましたが、彼にしては珍しく自信満々で依頼しようとすごくはりきっていました。それほど元号にこだわりがあるのでしょうか。
その後、ヤマガミ課長と10分ほど内線でバトルを繰り広げた末、タマキ課長が勝利して「泉沢ちゃーん!作ってもらえたよおぉ」と大喜びしながらプリントアウトして持ってきたのがコレです。
「令和」は入っていませんでした。
今後は西暦で統一するようです。
前の申請書の「平成」を修正テープで消すだけで再利用できたよね。
この10分のバトルの内容は、もともとその申請書は各部署ごとに勝手に作成していたものだから各部署で作り直せ、いやいや総務で統一するべき、といった内容でした。
こんなことで貴重な人生の10分を使うのは本当にコスパが悪すぎます。ついでに二人の頭も悪すぎます。
そしてついさっき、有休届けを出すためにこれを出して書こうとしたところ…
うぎゃあ〜またひと悶着ありそう…
タマキ課長シリーズ、好評なら続けてみます